楽観は意志によるものである 〜事業計画策定は意思を固めるプロセス〜
不確実性の時代と言われる現代、いつ何が起きるか分からないと思うと不安になります。直近の数年を振り返るだけでもコロナウィルス感染症の大流行とそれによるサプライチェーンの大混乱、原材料の高騰、急激な為替変動、海上運賃の高騰、紛争・戦争など、世界は短期間にあらゆる大災厄に見舞われました。倒産や廃業に追い込まれた事業者も多く、何とか耐えた事業者は「次はどんな災難に見舞われるか」とつい悲観的になってしまうと思います。しかし不確実であるからこそ、受け身ではなく前向きに取り組むことがとても重要になります。
フランスの哲学者アランの言葉に次のものがあります。
悲観は気分によるものであり、楽観は意志によるものである
フランスの哲学者アランの言葉(「幸福論」より)
単に将来を悲観的に見るのではなくて、意志を持って取り組めば楽観的に生きることができると説いています。このことは個人の人生の歩み方だけでなく、事業運営に対する姿勢に対しても非常に参考になる考え方だと思います。
余談になりますが、パスカルの三角形で有名なパスカルもアランと全く同じ意味のことを言っています。そしてパスカルもフランス人です。フランス人と日本人は世界の中でも特に悲観的な国民性なようで、2018年にアメリカで行われた「今の子どもたちが成長した将来、彼らは親世代よりも経済的に良くなっていると思うか、悪くなっていると思うか」というアンケートに対して「悪くなっている」と答えた国のトップがフランスで次が日本でした。
確かに日本の経済は長年にわたって停滞気味ですが、ギリシャより悪いと思っている人が多いというのは少し悲観的に過ぎるように思います。私たち日本人は将来を少し悲観的に見過ぎてしまう傾向がある、というのは自覚しておいた方が良さそうです。
さて、楽観的な事業運営のために、具体的に何ができるでしょうか?大きく2つあると考えています。
- 外部環境の変化(脅威)に耐えるための足場固め(守り)
- 外部環境の変化(機会)を捉えて成長するための仕込み(攻め)
つまり事業体質を改善することで体力を強化しつつ、将来の事業機会を捉えるための仕込み(投資)を行うということです。そしてこの2つに関して、具体的に何をどう取り組んでいくのかを決めるプロセスが事業計画策定です。事業計画をしっかり検討して策定することが、楽観的に事業運営を行うために必要な条件になります。事業計画の策定プロセスをいい加減にしてしまうと、実行計画の有効性に自信が持てなくなり、来年やそのさらに将来の経営について悲観的になってしまうのです。
将来を100%予測することは不可能ですが、前提条件とそれに基づいた見通しの下で事業計画を立てておくと、条件が変わったり見通しと実績がずれた時の修正がしやすくなります。無計画で旅行に行くよりも、ある程度の計画の下で行動した方が効率が良かったりトラブルに遭いにくいのと同じです。旅行先が不安定な地域の場合、下準備の重要性は特に高くなります。
Be Optimistic。事業計画を立てて、変化に強い事業体質を作っていきましょう。事業計画の具体的な立て方は後日コラムで解説していきたいと思います。